米国ユニテリアン協会が明治27年3月、東京・芝に建設したユニテリアン教会・惟一館(現・友愛会館)。その講堂に飾られていたのが標語「至誠・正義・雍穆」です。「標語」とは、「主義・主張・信条などを簡明に言い表した短い語句」(広辞苑)。それ故、惟一館のこの標語「至誠・正義・雍穆」は、ユニテリアン教会の主義であり、主張であり、信条である、大切な言葉です。
ここで「至誠」は「この上なく正しい・こと(さま)」(スーパー大辞林)とか、「この上もなく正しいこと」(広辞苑)と説明されています。また、「正義」は、「正しい道義。人が従うべき正しい道理」(スーパー大辞林)とか、「正しいすじみち。人がふみ行うべき正しい道」(広辞苑)などと解説されています。
しかし、「雍穆(ようぼく)」は、分かりにくく、難しい言葉です。普通の国語辞書には、まず記述・説明がありません。やや大きな漢和辞典に、ようやく「仲睦まじい」などと解説されています。
明治27年当時とはいえユニテリアン教会は、なぜこのような難しい言葉を掲げたのでしょうか。考えられるのは当時のユニテリアン教会の責任者、クレイ・マッコーレイ牧師にこのような言葉を教えた人物がいたのでしょう。考えられるのはユニテリアン教会献堂式に祝辞を寄せた福澤諭吉、横井時雄、久米邦武、中西牛郎の何れか、もしくは「惟一館」を揮毫した副島種臣伯爵でしょうか。一体、誰か。興味は尽きません。
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