本日(2020.8.1)は日本労働運動の源流とされる友愛会が、東京・芝のユニテリアン教会・惟一館(現在の友愛会館)で創立されてから108年となります。
友愛会系労働組合などで組織する「友愛会創立を記念する会」(会長・高木剛)は毎年8月1日、友愛会創立の意義を顕彰するための記念式典を開催してきましたが、今年は新型コロナウイルスのため中止となりました(有志により同日、友愛会創立を記念する集いを開催)。
1912(大正元)年8月1日、ユニテリアン教会・惟一館で鈴木文治(写真)ら15名により創立された友愛会(現在の連合)は今日、3つの意義を持っていたと理解されています。それは①日本労働運動の源流とされる労働団体であること、②大正デモクラシーの先駆となったこと、③ユニテリアン・ミッションを具現化したこと、です。
友愛会が①日本労働運動の源流とされることは、友愛会が現在の連合にまで続く労働運動の出発点に位置しているからです。また、友愛会の理念が「友愛的・人格向上的組合主義」(ロバート・ホクシー教授)であることも注目されます。「労働者の人格の向上」を掲げる労働組合は現在も存在しており、例えばUAゼンセンの2012年綱領は「私たちは、労働を通じて、技術を磨き、品性を高め、識見を啓発することによって、人格の向上と完成を図ります」と記しています。
友愛会が②大正デモクラシーの先駆とされるのは、友愛会の創立日と労働団体という点にあります。友愛会は「明治天皇の崩御で、元号も大正と改まった第1日目」(『日本労働組合物語』)に創立されており、「大正デモクラシー」という言葉に象徴される新しい時代の幕開けを予感させたからです。また、労働組合・労働団体は民主的で自主的なことが要件で、デモクラシーを象徴するものとされているからです。友愛会の創立は、後の吉野作造(鈴木文治の先輩)の提唱した大正デモクラシーの先駆とされるのです。
友愛会が③ユニテリアン・ミッションを具現化したとは、鈴木文治がユニテリアン教会職員であり、創立メンバーの多くが同教会の信者であり、教会のクレイ・マッコーレイ牧師が支えたことで、「友愛会はユニテリアン・ミッションのひとつ」(田村剛教授)とされているからです。ここでユニテリアン・ミッションとはキリスト教の布教・PRではなく、「自由の拡張と社会運動への取り組み」(土屋博政慶大名誉教授、内ケ崎作三郎牧師)です。友愛会は労働運動を通して自由の拡張をめざし、また失業・貧困・格差・不平等などを無くす社会問題に取り組んだのです。
友 愛 会 綱 領(大正元年八月一日)
一、我等は互に親睦し、一致協力して、相愛扶助の目的を貫徹せんことを期す
一、我等は公共の理想に従ひ、識見の開発、徳性の涵養、技術の進歩を図らんことを期す
一、我等は協同の力に依り、着実なる方法を以て、我等の地位の改善を図らんことを期す
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