友愛労働歴史館の企画展「同盟結成から50年、その今日的意義を探る」第四部「同盟ゆかりの人々」コーナーでは、現在、ヤスパースの研究者で中央大学や早稲田大学で教鞭をとった武藤光朗(1914~1998)を取り上げ、3つのメッセージを紹介しています。
武藤光朗は民主社会主義研究会議議長として1960年代に①「民主社会主義による自由の二重の反抗」を、インドシナ難民連帯委員会CSIR会長として1970年代に②「インドシナ難民がもたらす自由と人権のメッセージ生かしていく」を、そして1991年のソ連邦崩壊以後は社会思想家として③「友愛民主主義の提唱」を呼びかけ、それらは今日、武藤光朗の3つのメッセージとして記憶されてます。
ところでグローバル資本主義経済下の今日、武藤光朗が再注目されるのは、彼が一貫して資本主義経済がもたらす「非人間性」を批判し、格差・失業・貧困・不平等・人間的隷属に反抗(改革、修正)するよう呼び掛けたことによります。
武藤光朗はその呼びかけに当たり、ジョン・レノンの「レヴォリューション(革命)」や村上春樹の『ノルウェイの森』、尾崎豊の「17歳の地図」などに言及しつつ、個人の尊厳、自由な魂について論じました。武藤は彼らの歌や小説の中に、「真に孤独を感じる者だけが深く愛し、交わることができる」という実存哲学的主題を見出し、彼らを通して資本主義経済がもたらす非人間性を分かりやすく批判したのです。
また武藤光朗は、アメリカのロック歌手で「人種差別や労働問題をテーマにした抵抗歌」を歌い、「怒りと行動の表現者」(音楽評論家・渋谷陽一)とされるブルース・スプリングスティーン」に共感し、彼が歌う「ファクトリー(工場)」の中に「疎外された労働」で生きる工場労働者の悲しみと苦しみを聞きとりました。
「ファクトリー」 ブルース・スプリングスティーン
「一日が終わり 工場のサイレンがうなる 人々は目の中に死を持って 門を出てくる 必ず今夜誰かが 痛いめにあうはずだ 働くだけの 働くだけの 働くだけの人生だ 働くだけの 働くだけの 働くだけの人生だ 」
以上
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