新型コロナウイルスが世界を震撼させ、生活や経済を直撃している中、アメリカ大統領選へ向けた闘いが進んでいます。民主党予備選挙に出馬しているバーニー・サンダース上院議員は、マスコミによれば「民主社会主義者を自称」し、一部の人々から「社会主義者」と批判されています。
しかし、サンダースの政策が医療改革や社会的格差の縮小という人間尊重の理念(「人間は常に最終の目的」とする考え)に基づくものならば、彼は福祉を重視し、社会的連帯を大切にする人であり、近代民主社会では普通の考えでしょう。日本でも資本主義の暴走とその非人間性に警鐘を鳴らしてきた人たちがおり、彼らは「民主主義を信じ、社会的な連帯を重視する立場」から「民主社会主義者」を自称してきました。社会主義とは社会連帯主義なのです。
ところで「日本資本主義の父」の渋沢栄一は民主社会主義者でしょうか。渋沢は77歳で実業界を引退した後、「老後の三大事業」に取り組みます。それは「経済と道徳の一致」「資本と労働の調和」「細民救恤手段の統一」でした。
「資本と労働の調和」に基づき渋沢栄一らが設立した協調会(1919~1946年。労資協調を目的とした財団法人)は、「協調会宣言」の中で「人格の平等、人間は常に最終の目的」を謳っています。これを信じる限り晩年の、そして協調会時代の渋沢栄一を民主社会主義者と呼んでもいいのではないでしょうか。
友愛労働歴史館は昨年、企画展「協調会結成100年―渋沢栄一と鈴木文治・友愛会―」(2019.7.4~12.24)を開催し、渋沢栄一や協調会について紹介・解説いたしました。渋沢栄一が民主社会主義者かどうか興味と関心のある方は、同展解説スライドをご覧ください。ご希望の方にメール添付で送付いたしますので、友愛労働歴史館まで申し込んでください(文責・間宮悠紀雄)。
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