TEL.050-3473-5325
〒105-0014 東京都港区芝2-20-12 友愛会館8階
友愛労働歴史館が現在開催中の企画展「鬣(たてがみ)を持つ男・西尾末廣―労働運動・政治運動に生きた生涯―」(2021.3.8~7.5)は、労働運動家・政治家の西尾末廣(1891.3.28~1981.10.3)を取り上げた展示会です。
その西尾末廣の同志に井堀繁雄(1902.9.30~1983.7.18)がいます。井堀は100年前の川崎・三菱大争議に参加して逮捕され、その後、上京。埼玉県川口を拠点に鋳物工場で働く労働者を中心とする鉄工組合を率い、友愛会・総同盟の労働運動に取り組みました。
また、井堀繁雄(写真は昭和8年の選挙戦)は戦前の社会民衆党(安部磯雄委員長・片山哲書記長)から戦後の日本社会党・民社党で活躍した政治運動家(衆議院当選3回)であり、そして生協活動などの協同組合運動に取り組んだ人物でもあります。
今も川口駅前に建つ友愛センタービルの建設を主導したのは井堀であり、また彼は埼玉労働金庫や埼玉県勤労者生活協同組合の理事長を務めています。一方、中央台では全金同盟(現JAM)会長や㈶日本労働会館理事長などに就任しています。
友愛労働歴史館は現在、井堀繁雄に関する資料の収集・保管を行っています。井堀に関連する資料やグッズをお持ちの方は、ぜひ友愛労働歴史館までご一報ください。
友愛労働歴史館 Tel 050-3473-5325 E―Mail yuairodorekishikan@rodokaikan.org
今から100年前の大正10(1921)年、全国の炭鉱や銅山で大争議が発生している。友愛会が指導したものに北海道・夕張炭鉱争議、栃木県・足尾銅山争議などがある。
1921(大正10)年2月当時、北海道炭鉱汽船会社は夕張区内に十有余カ所の鉱区を持ち、坑夫1万7千人を使用していた。大正10年2月に二割に及ぶ賃下げを行い、これを契機に坑夫1万名がストライキに入った。麻生久(写真はウィキペディア。東大卒後1919年友愛会に入る)らが現地に入り、3月7日に争議は解決した。しかし、警察との乱闘、幹部の逮捕などにより組織は壊滅している。『総同盟50年史』は、「石炭資本家の計画的、組織的攻撃は、営々ときづきあげた坑夫総連会の北海道の組織をつぎつぎ破壊していった」と記している。
この頃、全日本坑夫総連会の最大拠点である足尾銅山においても大争議が勃発している。足尾銅山は明治時代に「この世の地獄」と喧伝され、坑夫は劣悪な状況下にあった。明治40年、大正8年、9年と大争議が闘われていたが、1921(大正10)年当時、足尾では全山8千名の労働者の内、2千名が坑夫総連合会芦尾連合会に組織されていた。
争議は団結権の承認、最低賃金の確認などを求めて始まり、3月16日に要求を提出。30日には友愛会本部から麻生久が来援、4月2日に足尾代表者連合会は8カ条の要求を提出し、7日から怠業に入った。会社側は8日に337名の大量馘首を発表し、対抗した。10日には棚橋小虎・赤松克麿・加藤勘十らが来援して馘首反対闘争に入り、12日には馘首者家族大会を行い示威行進に入った。結局、争議は4月18日に解決したが、馘首を認めた争議解決案に一部の組合員が反発し、しこりを残した。『総同盟50年史』は、「この解決条件がサンジカリストの不満を買い、知識階級排斥の火の手をあおった」と記録している。
友愛会誕生の地、ユニテリアン教会・惟一館(現在の友愛会館)は1894(明治27)年3月25日、献堂式(開館式)を迎えています。建設したのは米国ユニテリアン協会で、彼らを招聘したのは慶応義塾の福澤諭吉らです。
米国ユニテリアン協会のアーサー・メイ・ナップ牧師が調査のため明治20年に来日、そして明治22年にナップ牧師やクレイ・マッコーレイ牧師らのミッションが来日します。マッコーレイ牧師は1894(明治27)年に東京・芝にユニテリアン教会・惟一館を建設、惟一館を拠点にユニテリアン・ミッション(自由の拡大、社会問題の解決など)をスタートしました。
1898(明治31)年、惟一館でユニテリアン教会の安部磯雄(右写真。早大教授。日本野球の父)らにより社会主義研究会(後の社会民主党)が創られ、ここは日本社会主義運動の発祥の地となりました。1912(大正元)年にはユニテリアン教会職員の鈴木文治により友愛会が創立され、ここは日本労働運動発祥の地となりました。
友愛労働歴史館は現在、渋沢栄一ら友愛会を創り、支えた10名の人たちを取り上げた記念切手を販売中です。この記念切手は友愛会創立100周年を迎えた2012年8月1日、友愛会創立を記念する会(高木剛会長)が制作したもので、友愛会創立100周年記念切手シート「友愛会を創り、支えた人々」です。
記念切手シートには友愛会を創り、発展させた鈴木文治(友愛会創立者)、松岡駒吉(友愛会・総同盟会長)、西尾末廣(総同盟主事、日本社会党・民社党の創立者)の3名を取り上げています。
また、友愛会を支えた人々として安部磯雄(早大教授、日本社会主義運動の父)、賀川豊彦(キリスト教伝道者)、渋沢栄一(実業家、日本資本主義の父)、新渡戸稲造(国際連盟事務局次長)、吉野作造(東京帝大教授、大正デモクラシーの父)、クレイ・マッコーレイ(ユニテリアン教会牧師)、キャロライン・マクドナルド(宣教師)を挙げています。
なお、この記念切手シートは2012年当時の定形郵便物(長3)用の80円切手であり、現在の定形郵便物の82円には対応していません。切手として使用する場合は、追加料金2円が必要となりますので注意してください。
友愛労働歴史館は新しい企画展「鬣(たてがみ)を持つ男・西尾末廣―労働運動家・政治家として生きた生涯―」の準備のため3月1日(月)から7日(日)の間、休館いたします。
新しい企画展「鬣(たてがみ)を持つ男・西尾末廣―労働運動・政治運動に生きた生涯―」(2021.3.8~7.5)は、日本社会党や民社党の結党を主導した西尾末廣の生誕130年、没後40年を記念したものです。
友愛労働歴史館は新型コロナウイルスによる非常事態宣言を受け、昨年末から本年2月7日(日)まで臨時休館いたしましたが、本8日より再開いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
現在、友愛労働歴史館は常設展「日本労働運動の100年余―友愛会・総同盟を中心とするー」(2013.03.18~)と、公益財団法人富士社会教育センター企画展「労働運動と教育運動」を開催中です。
また、展示室の一角に福澤諭吉没後120年を記念した特別展示コーナー「福澤諭吉とユニテリアン教会・惟一館」(2021.2.1~2.28)を設け、展示・解説中です。併せてよろしくお願いいたします。
なお、昨年末から2月7日(日)まで休館中のホテル三田会館は、8日(月)から営業を再開いたしました。どうぞご利用ください。友愛労働歴史館はホテル三田会館の収益により維持されています。