今から90年前の1930年に総同盟(友愛会の後身、後の同盟。現在の連合)は、東京芝の惟一館(旧ユニテリアン教会。現在の友愛会館)の土地と建物を買収しています。
友愛会誕生の地であるユニテリアン教会・惟一館は、福澤諭吉らが招聘した米国ユニテリアン協会が1894(明治27)年に建設。この惟一館で1912(大正元)年8月1日、ユニテリアン教会職員・鈴木文治により友愛会が創立され、ここは日本労働運動発祥の地となりました。友愛会は大正10年に総同盟へと発展し、戦前期の日本労働運動の本流となります。
惟一館は米国ユニテリアン協会の日本撤退により1924(大正13)年頃には人手に渡ってしまいました。そこで総同盟は惟一館を買収することとし、1930年8月6日に東京建物株式会社との間で売買契約書を取り交わしました。買収金額は当時のお金で4万円。総同盟は組合員カンパにより3万7358円を集めましたが、その一部は日本労働会館建設後援会(安部磯雄、賀川豊彦、新渡戸稲造、吉野作造ら)からの寄付金でした。後援会が寄付した9907円は、現在の貨幣価値にすると約5000万円位でしょうか。
彼らの資金援助もあり、惟一館の土地(幕末は薩摩屋敷)と建物(ジョサイア・コンドル設計)は総同盟のものとなりました。総同盟は土地・建物の管理のため1931(昭和6)年に財団法人日本労働会館を設立します。これにより日本の社会主義運動(明治31年、社会主義研究会)と労働運動の発祥の地である惟一館(現友愛会館)は、90年後の現在も一般財団法人日本労働会館に引き継がれています。
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